スピーカーユニットの発熱と放熱について
スピーカーユニットは発熱します。
スピーカーは電気で動いていますが、投入されるエネルギーのうち、音に変わるのは1%以下で、ほとんどは熱に変わっています。
つまり、
スピーカーユニットはほぼ電気コンロ
だということを覚えておいてください。運動している部分で摩擦によって熱が発生します。
しかし、ユニットに触って熱くなっているのを感じたことはほぼないと思います。
それは、ユニットで発生する熱の大半が、何らかの形で放熱されているからです。
どうやって放熱されるかと言うと、主として磁石経由です。それが、
・磁石から筐体内部へ
・磁石からフレーム通じて筐体内部へ
・磁石からフレーム通じてコーン紙→筐体内部へ
・磁石からフレーム通じてコーン紙→筐体外部へ
というルートで放出されています。特に、
・コイルが運動して摩擦熱が発生
・コイルがコーンを動かして空気が流動して排熱
がバランスしていればかなりの放熱が確保されるのだと考えます。
問題は、これらの放熱が阻害された場合です。もしもこの状態になって、長時間放置すると、熱がどんどん上がって、ユニットが発火します。
問題は、純セレブスピーカーが、
・紙でできているので、木のスピーカーより、よく燃える、
・紙を詰めているので、空気の流れが阻害されやすく、かつ燃えるものが多い、
・紙を詰めているので、空気の流れが阻害されやすく、かつ燃えるものが多い、
ということです。
この点は十分に認識してください。
ユニットの温度上昇について(2018.12.06 安冨歩)
パナソニック(Panasonic) 10cm フルレンジ 8Ω 10W スピーカー EAS10P622B で作成した密閉型の純セレブスピーカーを、シンワ測定 デジタル温度計G-1 隔測式 防水型 73045 で温度測定。CROWN D-45 (4Ω:35W+35W 8Ω:25W+25W 16Ω:20W+20W)で、4時間鳴らしました。前半はシンフォニー、後半はパイプオルガン。最大では鳴らしていませんが、ブルブル震えるくらいの音量。何ワットなんでしょうか?結果は、最低21.8度、最高29.9度で、シンフォーは26度くらい、パイプオルガンは29度くらいを前後していました。
このくらいの温度上昇では、触ってもよくわからないくらいですが、温度上昇するのはするのです。この点をよく認識して使いましょう。
この問題については、光司さんの『節約はレジャー!』というブログで以下の周到な考察がありますので、ぜひ参考にしてください。


ユニットの深刻な温度上昇について(2018.12.08 安冨歩)
ダイソーの300円USBケーブル付きスピーカーから取り出したユニット(3W、6Ω)を使って実験しました。ユニットを新聞紙でしっかり包み、それを更に何重にも包んで、ダンボールに詰め、FX-AUDIO- FX-502J(50W+50W / 対応スピーカー:4Ω〜16Ω)で音量最大にして、パイプオルガンの音楽を流しました。




こういう状態です。そうすると、みるみる温度が上昇しました。18.8度で始めて、十五分ほどで70度を突破し、このあたりから音が途切れるようになり、75.2度で音がしなくなりました。そうすると、温度が急激に低下し始め、70.2度に下がったところで、実験を終了しました。
取り出すとアツアツになっていて、ユニットのエッジの部分が熱変性してぶよぶよになっていました。ユニットが冷めて鳴らすと、ザザりながらも鳴っており、中を開けてみましたが、エッジ以外のところには異常はなかったように思います。



そういうわけで、通気が起きないようにすると、とんでもなく危険です。
と、同時に、朗報は、75.2度程度であれば、発火することはない、ということです。熱でユニットが壊れて、温度が上昇しないのであれば、それ以上の危険はないわけです。尤も、私が実験をやめたのは、これ以上やると、漏電とか起きてヤバイことになるのを恐れたからで、決して安全なわけではありません。
【注記】ちなみに、パイプオルガンの音楽を使っているのは、延々と鳴り続けるので、熱の発生量が放熱量を上回る状態が延々と続くため、温度がどんどん上昇するからです。強弱のある音楽であれば、冷める時間があるので、温度上昇は遅くなります。
ダイソーの300円スピーカーのアンプの発熱について
最近、ダイソーの300円スピーカーを使った工作が流行しつつありますが、アンプを外して、ダンボールの中に入れて使っている写真をいくつか見ました。たとえば、
こういう感じです。デジタルアンプは、発熱が少ないので、まず問題ないと思いますが、なかには熱くなるものもあります。たとえば、
は、安いし音がいいので実験に使っていたのですが、放熱板を触れないくらい、熱くなります。
なので、念のためにダイソーのアンプを、測ってみました。例によって、パイプオルガンの曲を20分ほど、最大音量で鳴らしました。結果は、
20.2度で開始して、35.2度まで上昇し、そこで安定したので実験を停止しました。
大した温度にはならないのですが、発熱するのはしています。ですから、これも、完全に放熱を妨害してしまうと、温度が上がり続けることになりますので、その点は注意せねばなりません。
私は、発熱が怖いので、ユニットだけ抜き出して、アンプはそのままにして、エンクロージャー(スピーカーの箱のこと)の片方を、アンプの入れ物にして使っています。これなら安全なはず。


- 最終更新:2018-12-15 23:13:31